◎リアム・ギャラガーがミュージックシーンに帰ってきた!
Oasisといえば90年代を代表するイギリスのロックバンドであり、中心となっていたノエル・ギャラガーとリアム・ギャラガーの「ギャラガー兄弟」といえば、ロックンロール精神を地で行く、生ける伝説とも言えるロックスター兄弟だ。そして、1994年の"Defenitely Maybe"でデビューして以来、2008年の7thアルバム"Dig Out Your Soul"をリリースした翌年の世界ツアー末期に兄弟喧嘩を原因にOasisが解散してしまうまで数々の伝説を残し続けてきた。
しかし、その後の兄弟それぞれの活動の進捗は対照的だ。兄のノエルがその類まれなるソングライティングセンスを武器に、これまでの2枚のソロアルバムやそれに伴う世界ツアーも順調に進んだ一方、弟のリアムは真逆だった。Oasis解散後にノエル以外のOasisのメンバーと新バンドBeady Eyeを結成してこちらも2枚のアルバムをリリースするも、世間での評判は思わしくなく、2014年に解散してしまった。あげくのはてに、Beady Eye末期に起こった離婚騒動等のプライベートのゴタゴタもあり、定期的にTwitterで兄のノエルを罵ることくらいしかできない「落ちぶれたロックスター」のイメージがついてしまった。
しかし今回、リアム・ギャラガーはとうとうカムバックした。しかも最高にクールなロックンロールソングと回復したその圧倒的なボーカルをもって。今日はそんな彼の「ソロデビュー」を検証していきたいと思う。
◎ソロデビューシングル、"Wall Of Glass"
5月末に突如Spotifyなどにデビューシングルとなった"Wall Of Glass"の冒頭30秒を公開すると、5/30の地元マンチェスターのライブで同曲のフル演奏を初披露し、同曲のスタジオ版も日本時間6/1には正式に公開された。これがかっこいいのなんの!
基本的にリアムは音楽的にはかなり保守的な考えを持っていて、彼が作曲した曲にはかなりその色が現れていることが多いのだけれど、今回の曲は今までのパワフルさはそのままに、より洗練されている印象。プロデュースが上手くハマった形だ。また、PVもカメラ目線で歌い上げているリアムがなんだか新鮮で、初見の時は思わずニヤっとしてしまった。
リアムは他にも秋頃に正式リリースされていると言われるソロデビューアルバム"As You Were"に収録されるであろう曲をライブで数曲演奏しているが、"Wall Of Glass"クラスのかっこいいロックンロールソングが多数収録されることを願いたい!
◎ソロデビュー後のライブパフォーマンス
"Wall Of Glass"を正式公開し、ソロ活動を正式にスタートしたリアムはヨーロッパツアーをこなしている。その中でファンを驚かせているのは、彼の力強いボーカルだ。
以下のライブ演奏をぜひ観てほしい。これは、マンチェスターで発生した、アリアナ・グランデのコンサート終了直後に発生したテロ事件に対するチャリティーライブでのパフォーマンスであるが、Cold PlayをバックバンドにリアムがOasis時代の名曲、"Live Forever"を歌い上げている。そして、そのボーカルが本当にすごいのだ。力強いし、声が伸びる伸びる!
彼をあまり知らない人は「え、どゆこと?」と思うかもしれないが、リアムはOasisの活動末期やBeady Eyeの活動末期において、相当酷い声になってしまっていた。例えて言うなら、ニャンチュウのような鼻にかかったようなガラガラ声だ。原因は酒だとかドラッグだとか詰め込みまくりのライブスケジュールだとか色々言われているが、実際全盛期の声には程遠い状態になってしまうことがあった。
しかしソロデビューして驚愕したのは前述したその声。しっかりと復活し(というか復活どころではなく、個人的には2001年くらいの時にまで声が戻っている気さえする)、リアム・ギャラガーの復活を実力とともに見せつける余裕すら感じさせてくれる。
◎最後に
数日前にアイルランドのラジオ局「RTE 2FM」のデイヴ・ファニングの番組に出演した際、リアムが「今、起きている現状に思うのは『いい加減にしろよ、もっと出来るだろう』っていうことでさ。最近ではギター・バンドとポップ・バンドの区別もつかないだろ。確かに首からギターをぶら下げてるけど、ギターの音なんか聴こえてこないからな。こういうバンドたちが、自分たちはギター・ミュージックを救いに来たとか言ってるわけでね。まあ、俺は頭が悪いのかもしれないけど、ギター・ミュージックを救うにはアルバムにギターを入れなきゃいけないって思うわけでさ。それなのにギターの音は聴こえてこないんだよな」(邦訳元:NME Japan)と話したように、ソロとして活動を再開してから、リアムは自身の活動のことを「ロックシーンをなんとかしなきゃいけない」という考えと重ねて話すことが増えた。
今回彼が繰り出してきた一曲は、それが「口ばっかり」ではないことを十分に証明できる強烈な一曲だ。今年のソニックマニアとサマーソニック(大阪)に出演するため、すでに来日も決まっているリアム。そんなロックンロールスターの帰還を皆で楽しもう!!!
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